最近ジャパンウィスキーが話題になっているそうです。メジャーブランドだけでなく、地方の地ウィスキーのようなメーカーのウィスキーが世界の品評会で大きな称賛を受けています。
またワインやチーズ作りでも同じような評価があり、本来日本オリジナルではないモノでも日本人らしい丁寧なもの作りの姿勢が、本家が驚くような製品を生み出しています。
これらに共通するのはオリジナルに近づけるのではなく、オリジナルを越えるものを作ろうとする姿勢が、それこそ熟成することで達した高みなのです。
国産ジーンズの代表ブランド『EDWIN』という名称は、江戸(日本)が勝つという意味が込められていると言います。
当時アメリカから輸入されたリーバイスなどのジーパンに勝ちたいという思いで励んだ結果、EDWINは世界ブランドとしてヨーロッパを主戦場に活躍しています。
そのあとを受けて、規模は小粒ですが確かなモノ作りを進めるデニムブランドに、海外から熱い視線が注がれています。ジャパンジーンズを取り扱っていないショップは、店の格式にまで影響するそうです。
デニムだけでなく多くのファションブランドが、生産拠点をアジアや中米にシフトしたことで『らしさ』が失われていると嘆く声があります
http://edition.cnn.com/style/article/denim-japan-weaving-shibusa/index.html
紹介するジャパンデニムは、尾道など古くから繊維産業が盛んな土地で生み出さたものです。デニム染に不可欠なインディゴ=藍染めに関わってきた歴史が残っています。
スタンダードなものから個性的なものまで3ブランドを絞り込んでみました。
KURO
https://kurodenim.com/pages/99
KUROというブランド名は日本語の「黒」からきています。墨のような完璧な黒、漆黒をイメージして命名されています。
2010年の創業の若いブランドで、10年足らずで大きな評判を得る存在になりました。旧い力織機で織られた打ち込みの強い生地を使っています。中でももっともデニムらしい14oz生地を採用、履き込むほどに、育てがいのあるデニムです。
基本はGraphiteというもモデルで、ヒップの位置を高くセットすることで細身のシルエットが生き、足長効果につながります。アジアのショップで人気があるという理由がわかります。
また加工技術も長けていて、高価ですがエイジングやダメージの効いたモデルのほうが人気が高いのだそうです。
ジャストサイズで履くのが基本ですが、個性や着こなしに合わせたサイジングで楽しんでください。
現在では、デニムだけでなくアウターやシャツなどカジュアルアイテムを揃えています。そしてレディースも好調です。
RESOLUTE
デザイナー林 芳亨氏は日本ジーンズ界の神様と崇められる存在。2010年に『リゾルト』を設立すると、信奉者のようなファンに歓待され、国産ジーンズの最高峰と祀られています。
林氏は『リーバイス』への憧れが強く、ジャパンデニム『ドゥニーム』の設立時にはデザイナーとして参加、レプリカジーンズのブームを生みだした張本人です。
しかし更なるオリジンを求め同社を退社すると、自身ブランドの立ち上げます。彼が大切にするのは丁寧なモノ作り、そしてMADE IN JAPANということ、前職時代から付き合いのあった職人たちも協力を惜しまなかったとか。
氏自身が憧れる『リーバイス』の1960年代のジーンズ、通称“66(ロクロク)”をベースに製造したモデル710は、程よいタイトさで、リゾルトを代表するものです。
彼はスタイルにも意見を持っていて、全国の取り扱い店舗を回りながら理想的なフィッティングも伝道しています。
ウエストではなくヒップに合わせて履くこと、長さは合わせる靴に被らないこと、今履いているものよりワンサイズ小さいものを試着することなど、フレンチトラッドを思わせる上品な着こなしが身上です。
シャンボートやアヴィニオンなどパラブーツを合わせる事が多いようです。色落ちしたスエードのグッチは春夏の定番です。真っ白なキャンバススニーカーを持ってきたりと大人世代にも受け入れられています。
RED CARD
https://www.23ku-web.jp/my-standard/-episode-11.html
Red Card(レッドカード)は、デニムデザイナーの本澤裕冶氏が2009年に設立したデニムブランドです。
本澤裕冶氏は、EDWIN在籍中に名品「503」の立ち上げに関わり注目されました。LEVI’Sジャパンに移籍してからは『501』のモデルチェンジを手がけるなど、日本のジーンズ史には欠かせない存在です。
2005年にフリーランスになると去就が注目されましたが、2008年初の自身のデニムブランド「レッドカード」を創設。薄いデニム生地を使用したものや、シンプルで美しいシルエットのスタイルなど、こらまでの経験が生み出す作品を提案するとレディースから火が付き始めます。
基本となるのはスリムテーパードモデル「RHYTHM(リズム)」。日本人の体型に合わせたフィット感と、快適な履き心地が特徴です。また価格も求めやすいという点も歓迎されています。
男女問わずファッション誌で見かける機会が増えました。伸びしろの広い、今後の活躍に期待したいデニムブランドです。
ジーンズだと思わずに、様々な組み合わせることを提案しています。自由に、大胆にそして個性的に。RED CORDならどんなスタイルにもフィットします。
他にも2ブランド。まとめて紹介します。
HAND ROOM
シンプルなデザインと高い品質、惜しまれつつ解散した『タブロイドニューズ』でパタンナーを勤めていた岡田安彦氏がクリエイティブを担当する、一押しカジュアルブランドがハンドルームです。
デニムパンツとシャツ作りで、大きな評価を獲得し一躍注目されるブランドになりました。公式サイトではユナイテッドアローズ粟野氏のコメントが掲載されています。
一年中履いていたい。汚れた洗ってまた履く、そんなシンプルな生活に寄り添うブランドです。
VISVIM
https://www.fashionsnap.com/article/visvim-wmv/
「visvim(ビズビム)」は、2000年中村ヒロキがシューズブランドとして設立しました。その後ウェア、アクセサリー、フレグランスと展開するトータルブランドへと拡大しています。
このブランドを語る時、素材への強い思いを忘れてはいけません。糸作りから始まります。真摯というよりも偏屈なモノ作り姿勢が、ビズビムを構成しています。
愛用者は国内外を問いません。「エリック・クラプトン」はジーンズやスニーカーを愛用していると聞きます。「藤原ヒロシ」もvisvimのファンだそうです。
visvimは高価です。しかしvisvimにしか描けない世界観があります。
どのブランドも、商品には『スタイル』が込められています。哲学と言い換えてもイイかもしれません。その本気度が魅力になっているようです。