初めに。この記事は『手の届く名品たち』というタイトルで、男にとって必要と思われる靴を5種類選び、ブランドごとの特徴を考察するものです。
俗に言う『一生もの』ブランドではなく、現実的に手に入れやすいブランドを選定しました。と言っても使い方、手入れ次第で長い付き合いができる、高い品質を備えたものばかりです。
今回取り上げるのは『ストレートチップ』。キャップトゥという呼び方もありますが、紐靴が必要ならまずこれから揃えてください。
ビジネスシーンでの利用はもちろんですし、冠婚葬祭などの儀式で用いても失礼はないでしょう。
https://web.hh-online.jp/hankyu-mens/goods/?ggcd=M1790095
構造的には、内羽根と外羽根の2種類があります。よりドレッシーな内羽根式を揃えておくと便利です。もちろん色はブラック。
デザイン的には甲部分が長いロングノーズタイプではなく、レギュラータイプのほうが汎用性があります。
ソールはレザーが望ましいところですが、機能性を考えて(雨天にも強い)ダイナイトソールを装着したモノの人気が高くなっているとか。
日本製やリーズナブルなブランドを調べてみました。
バーウィック Berwick ストレートチップ 1251
https://store.shopping.yahoo.co.jp/leatherrbt/berwick-1251-b-ds.html#
内羽根式のストレートチップはスペインの『バーウィック』です。小技の効いた作りを得意にしていて、こちらのモデルも切り返しのステッチを深め(つま先から離れて)に入れることで靴全体を細く、長く見せています。
スペインブランドと言えば後述する『ヤンコ』など、コストパフォーマンスに優れたものが多く、普段使いできる本格靴として脚光を浴びています。
小技が効いていると言っても基本形は外れていないので、クラシック志向のメンズファッションの流れに沿った、使いやすい一足です。
YANKO ヤンコ ストレートチップ ブラック
https://item.rakuten.co.jp/crispin/14558_bnegro/
ヤンコの創業は1890年、スペインのマヨルカ島で誕生した老舗シューズブランド、120以上の歴史を持っています。
製造の基本はグッドイヤーウェルト、デザインは英国靴をモチーフにした本格的なものです。こちらも、5アイレットの内羽根式になっていて、紳士の足元を支える質実剛健な顔つきです。
外見からは見えませんが、ヤンコの特徴はソールにあります。レザー仕様もありますが、多くは『ヨークソール』を採用している点です。
ヨークソールは前の半分がラバーで後ろ半分がレザーのソールになっていて、ラバーソールの耐久性・耐水性とレザーソールの通気性を併せ持つ機能的に優れたものです。
見た目にもスマートなので、スーツや礼服にもしっくりハマります。
SHETLANDFOX KensingtonⅡ(ケンジントンⅡ) ストレートチップ
https://www.shetlandfox.jp/blog/blog_category/products/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E2%85%A1/
SHETLANDFOX(シェットランドフォックス)はリーガルコーポレーションが展開する高級ライン。80年代にブランドを立ち上げましたが、10年ほど休止期間を経て復活したマニアックなブランドです。
リーガル日比谷店のほか、一部店舗にしか商品を置かずに狭いマーケットながら圧倒的な支持を得ています。商品構成も既製品(レディメイド)はありますが、年に数回開催するパターンオーダーイベントでの受注や、フルオーダーを中心にマーケティングを展開しています。
こちらはストレートチップもパターンオーダー会向けのサンプルですが、製法もグッドイヤーとマッケイを組み褪せることで履き心地はもちろん、流麗なシルエットを保っています。
とにかく一度は体験しておきたい、そして誇りたいジャパンブランドです。
宮城興業 キャップトゥ ブラック
https://miyagikogyo.co.jp/miyagikogyo/100captoeoxford
宮城興業は山形に本社・工場を置く地域ブランドです。多彩な機材と確かな技術力から、多くのOEM 生産に関わってきました。そしてそれがさらに技術の向上につながっています。
そのスキルを生かしたファクトリーブランドの準備に取り掛かるため、紳士靴の聖地ノーザンプトンへの視察を重ねます。
オリジナル製品は現在4型のみ。その一つにストレートチップ(キャップトゥ)がラインナップされています。
どこまでも普通のつくりなのですが、足入れすると吸い付くなフォット感を味わえると言います。磨くほどに履く人の個性が浮き出てくるブランドのトップランナーです。
修理も効くので、仕事用に使ってください。ピンストライプのネイビースーツの足元は寡黙な一足でしめてください。
冠婚葬祭用やパーティにはホールカットを。
https://www.johnlobb.com/ja_jp/catalog/product/view/id/23194/s/538030L/category/3/
ストレートチップがあれば、ビジネスから冠婚葬祭まで幅ひろく対応可。と書きましたが、もっとも正式なモデルとなればホールカットになります。つまりブラックスーツにはホールカットが正式なのです。
一枚革を継ぎ目なしに仕上げた画像のようなタイプです。ステッチもなにもない、ごくシンプルな構造、しかし素材の品質が求められます。
そうした席が増えてきたなと思うなら、こちらも一足用意するべきでは。