1990年代レプリカデニムブームというのがあって、ビンテージデニムをモチーフにした、復刻デニムというコンセプトのジーンズが多く提案されました。
その背景には、かつてアメリカ製であったジーンズが生産拠点を海外に移したり、経営の都合でああったりという理由で、デニムに『らしさ』が失われてきたこと。
『らしい』デニムは、ビンテージに求めるしかないが、とても高価である。ならば自分たちで理想のデニムを作りましょう。という流れがあったようです。
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品質と縫製、さらに思いを込めたデニムは単なる復刻ではなく、新たな価値を備えたレプリカデニムとして大きな評価を得ることになります。
それまで流通していたジーンズにくらべると数倍する価格設定でしたが、独特の色落ちやスタイルを楽しむ、デニムを『育てる』という言葉が生まれていきます。
すでにレプリカデニムとビンテージ(古着含む)デニムは共存しながら、私たちの生活に馴染んでいますが、ここ数年で日本製デニムの新しい価値観が生まれてきたのではないかと感じています。
先のレプリカデニムに関わってきた人物や、日本という誇りから生まれたもの、そしてデニム絵の強い憧れ。
彼らが作り出すデニムは日本に留まらず、世界に発信されジャパンデニムと言っていいほどの評価を受けています。
リゾルト・クロ・ハンドルームの魅了を探ってみました。
RESOLUTE リゾルト
http://www.resolute.jp/catalog.html
RESOLUTE(リゾルト)は国産デニムの企画・デザイナーを20年以上を務めた、林 芳亨(はやし よしゆき)氏が新たに立ち上げたブランドです。
レプリカデニム黎明期からデニムファンに支持されてきた人物で、彼の理想とするデニムを作るべく独立して立ち上げました。
RESOLUTEのシルエットは4型のみ。その根底には「何年経っても手に入る理想の定番を作り続けたい」という思いが込められていいます。
1年、2年と穿きこんで色落ちを楽しんだ後に、また新たな同じものがほしいと思ったら同じデニムが買えるブランドでありたいというメッセージです。
シルエットだけでなく、リゾルトはフィッティングにも作法があります。ジャストレングス、ヒップに合わせるということ。林氏に言わせると、サイズの合わないものを履いている人が多いそうです。
そのため彼は全国の販売店を訪ね、接客しながらフィッティング指導するという方法を続けています。
着こなしにも提案があり、シャツやジャケットに合う、革靴を履くというスタイルで、ヨーロッパ目線のアイビーという表現をされる場合があります。
さらにデニムの扱いも面白く、汚れたら洗うことを薦めています。二日に一度程度履いてい1週間以内には洗うこと。するとキレイに色落ちして『育つ』と。
50代 60代でも似合うデニムであってほしいものです。
http://www.resolute.jp/style-ss2018-06.html
KURO クロ
https://kurodenim.com/products/detail/201
ブランド名のKUROは日本語の黒(くろ)からインスパイアされたもの。日本人ならではの丁寧な縫製や染色、加工などが隅々に生かされています。。
2010年のジーンズを中心に創業し、10年も待たずに大きな評判を獲得しています。現在では、デニムだけでなく様々なカジュアルアイテムにまで進出しています。
力織機で織られた打ち込みの強いデニムを使っています。そこまでは多くのジーンズメーカーが採用しているのですが、KUROはもっともデニムらしい14oz生地を採用。履き込むほどにカラダに沿って、愛着の1本に仕上がります。
基本となるする絵っとはGraphiteです。やや細身になっていて、ヒップの収まりが計算されているのですっきりと映ります。足長高価もあるのだとか。
ここ数年で海外での人気が急上昇しているというニュースが伝わっています。
2016年には、北野武ら著名人とともにドイツのスーツケースブランド「RIMOWA」が選ぶ「日本のクリエイター9人」のメンバーに選出されるなど、話題は尽きません。
https://kurodenim.com/pages/99
HAND ROOM ハンドルーム
熱い視線が注がれている新進ブランドがハンドルームです。
惜しまれつつ解散したタブロイドニュースというブランドでパタンナーを勤めた岡田安彦氏がクリエイティブディレクターとして、デニムとシャツを基軸とした提案をしています。
公式サイトを開けると『いいシャツといいジーンズ。それだけで、私たちは、どこまでも自由になれる。』というメッセージが表れます。
そして7本のジーンズと、7枚のシャツの画像が背景でシンクロしています。たしかにこれだけあれば50通りほどの着こなしが楽しめる。確かに自由だと納得させられます。
デニム作りは、各地の職人たちとの共同作業で生まれます。これも他ブランドと同じでしょう。
このブランドに期待するのは『若さ』であり、さまざまなメディアから発信される情報を自身の価値感でリメイクする柔軟さだと思います。
これからのジャパンデニムを支えていく柱になってほしいブランドです。
違う機会に、また。
https://www.pinterest.jp/pin/641129696926141774/
ここで紹介できなかったジャパンデニムが沢山あります。ブランドの個性と提案が詰まったブランド3つに絞るのは至難でした。
またの機会に、別のジャパンデニムの紹介をさせてください。